専門製品の "AI 推薦リスト" に定着。BtoB 問い合わせが半期で 1.8 倍。
製品仕様・選定基準を機械可読な構造で再構築。Perplexity・Gemini の比較回答に自社が登場する頻度が安定し、リードフォーム経由の商談数が半期で 1.8 倍に。
※ 掲載数値はモデルケースを含むサンプルです。実際の効果はお客様の現状・業界・取組み範囲により異なります。具体的な実績データは秘密保持契約締結後、個別相談にてご共有します。
課題:仕様は公開しているのに、比較回答に呼ばれない
産業用機器を手がける、国内大手の精密機器メーカーのケースです。製品ページには詳細な仕様が掲載されており、営業資料としては十分に機能していました。しかし Perplexity や Gemini に「この用途に適した製品は」と尋ねると、回答に登場するのは海外の大手ばかりという状況でした。
きっかけは展示会でのやり取りでした。来場者から「事前に AI で候補を調べてきたが、御社は入っていなかった」と言われることが続き、営業部門から相談が上がっています。国内シェアでは上位にある製品でも、生成エンジンの回答では存在しないのと同じ扱いになっていました。
生成エンジンが比較回答を組み立てるとき、必要なのは「仕様が載っていること」ではなく「仕様が比較可能な単位で読めること」です。着手前の診断では、次の点が引用を妨げていました。
- 仕様が PDF カタログに閉じており、HTML 側には型番と概要しか無い
- 同じ性能項目が製品ごとに異なる表記・単位で書かれ、横並び比較ができない
- 「どの用途にどれを選ぶか」という選定基準が、営業担当の暗黙知に留まっている
2 点目は社内でも把握されていませんでした。同一シリーズの中でさえ、ある製品は「応答時間 5ms 以下」、別の製品は「レスポンス 0.005 秒」と書かれている状態です。人が読めば同じ意味ですが、機械が横並びの表として扱うことはできません。整理を始めてから、表記の揺れは 40 種類近く見つかりました。
計測:何をもって「呼ばれている」と見なすか
BtoB の専門製品では、検索ボリュームが小さく、順位も流入も月次で大きく揺れます。そのため計測は「登場したかどうか」ではなく「繰り返し尋ねても候補に残るか」を見る設計にしました。
- 用途別の質問を 60 件用意する。営業が引き合いの初回ヒアリングで実際に使っている言い回しをそのまま採用した
- 各質問を隔週で 3 回ずつ投げ、3 回中何回登場したかを記録する。単発の登場は成果と見なさない
- 登場したときに自社製品の型番まで挙がっているか、社名だけかを分けて記録する
- リードフォームの入力内容に「どこで当社を知ったか」の自由記述欄を追加し、AI の回答経由の来訪を定性的に拾う
4 点目の自由記述は、後になって効いてきました。半期の終わりには「Perplexity で候補に出てきた」「Gemini に聞いたら型番が出た」といった記述が月に十数件届くようになり、定量の指標だけでは説明しづらい変化を社内に伝える材料になっています。
施策:仕様と選定基準を機械可読な構造に置き直す
PDF を廃止するのではなく、HTML 側に構造化された同内容を併置する方針を採りました。人が読む資料としての PDF は残しつつ、機械が読む経路を新設する形です。既存のカタログ制作フローを止めずに進められるため、社内の合意も取りやすい進め方でした。
- 1 ヶ月目:全製品の性能項目を棚卸しし、共通の項目名・単位に統一する用語表を作る。表記の揺れを 40 種類ほど吸収した
- 2〜3 ヶ月目:統一した項目で HTML テーブルを再実装。1 製品 1 ページ、同一シリーズは同一の行構成にそろえる
- 3〜4 ヶ月目:Product の構造化データを整備し、型番・仕様値・適用用途を実体として定義する
- 4〜5 ヶ月目:選定基準を「用途 → 必要性能 → 該当型番」の順で明文化する。ベテラン営業 3 名への聞き取りを 6 回に分けて実施した
- 5〜6 ヶ月目:各仕様値の測定条件と準拠規格を併記し、数値の根拠を確認できる状態にする
最後の測定条件の併記は、地味ですが効果の大きい工程でした。生成エンジンは根拠を確認できない数値の引用に慎重で、測定条件が併記されているだけで扱いが変わります。出典や一次データを示して情報の信頼性を高めるという、GEO 設計の基本と同じ考え方です。
選定基準の言語化には、想定の倍の時間がかかりました。ベテラン営業に「この用途ならどれを勧めますか」と聞いても、返ってくるのは「客先の設備を見ないと決められない」という答えです。そこで質問を変え、過去 2 年の見積案件を 80 件ほど並べて「この案件でなぜこの型番だったのか」を一件ずつ確認する方式に切り替えました。判断の分岐が言葉として出てきたのは、この方法に変えてからです。
結果:比較回答への登場が安定し、商談数に接続した
着手から半期の時点で、主要な用途別クエリにおける比較回答への登場頻度が安定しました。単発で名前が出るのではなく、繰り返し尋ねても候補に残る状態になった点が変化です。3 回中 3 回登場する質問は、着手前の 4 件から 27 件に増えています。
リードフォーム経由の商談数は同期間で 1.8 倍となりました。伸び方には偏りがあり、構造化を先に進めた 2 シリーズに問い合わせが集中しています。未着手のシリーズには目立った変化が無く、施策と結果の対応が確認できた形です。
BtoB の専門製品では、検討者が社内稟議のために「なぜこの製品か」を説明する必要があります。選定基準を公開情報にしたことで、AI の回答経由で来た検討者がその内容をそのまま社内説明に使える状態ができました。初回商談で仕様確認に費やす時間が短くなり、商談化率にも寄与しています。
運用で決めておいたこと
仕様は改訂されます。HTML と PDF の二経路になった以上、片方だけが更新される事故を防ぐ手当てが要りました。
- 仕様値の原本は社内の製品マスタとし、HTML も PDF もそこから出力する。ページを直接編集しない
- 改訂時は用語表との突き合わせを必須のチェック項目にする。新しい表記の揺れを持ち込ませない
- 四半期に一度、60 件の質問リストを回して登場状況を確認する
再現の条件
- 製品仕様が定量的で、項目を横並びに揃えられる
- 用途と製品の対応関係が社内で言語化できる(暗黙知でも聞き取りで抽出できる)
- カタログ PDF 以外に、HTML で情報を出す運用体制が作れる
仕様が定性的な商材や、案件ごとの個別設計が前提の商材では、この形の構造化は馴染みません。その場合は導入事例や適用実績を軸に組み直す設計が必要になります。どちらに寄せるべきかは、扱っている製品の性質と引き合いの入り方で判断が変わります。
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